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山下 裕太特定社労士・15年実務

相談に来られる方に最初にお伝えしているのですが、「失業保険」という名前の保険は、実は存在しません。私たちが普段そう呼んでいるのは、雇用保険の「基本手当」という給付のことです。毎月の給与明細で数百円〜千円ほど引かれていた雇用保険料。あれは、こういう日のための積み立てだったわけです。

金額の規模感からお話しすると、条件がそろった場合の受給総額は数十万円では収まりません。45歳以上で勤続20年、会社都合で退職した方なら200万円を超えるケースも普通にあります。にもかかわらず、「自己都合だからどうせ少ないでしょ」と申請すらしない方が毎年一定数いらっしゃる。もったいない話です。

金額と期間は、この4つで決まる

受給額の計算は複雑に見えますが、変数は結局4つしかありません。

このうち、相談の現場で一番もめるのが最後の「離職理由」です。給与や年齢は動かしようがありませんが、離職理由の区分は、実態に応じてハローワークが判定し直すことがあります。そして区分が変わると、受給総額が2倍、3倍になることがある。この記事の後半で触れますが、まずはここだけ覚えて帰ってください。

もらえる人の条件

大前提として、雇用保険に一定期間加入していたことが必要です。原則は「離職前の2年間に通算12か月以上」。ただし、倒産・解雇などの会社都合や、病気・介護といった正当な理由がある退職(特定理由離職者といいます)の場合は「離職前1年間に6か月以上」まで緩和されます。勤続1年未満だから無理、と思い込んでいる方が多いのですが、事情によっては十分受給できます。

もうひとつの条件が「働く意思と能力があること」。失業保険はあくまで求職中の生活を支える給付なので、病気ですぐに働けない方は、そのままでは受給できません。この場合は受給期間延長という手続きで権利を凍結しておき、先に健康保険の傷病手当金を受ける、という順番になります。体調を崩して退職する方はこの順番を間違えると本当に大きな差がつくので、「うつ・体調不良で退職するとき」の記事をあわせて読んでみてください。

いくら・いつから・いつまで

1日あたりの支給額(基本手当日額)は、退職前6か月の給与合計を180で割り、そこに50〜80%の給付率を掛けて算出します。給与が低かった人ほど高い率が適用される仕組みで、感覚的には在職時の手取りの6〜8割と思っておくと近いです。月収25万円なら日額5,600円前後、といったところです。

受け取り開始のタイミングは離職理由で変わります。会社都合なら、ハローワークで手続きした日から7日間の待期期間を経てすぐ支給対象に。自己都合だと、待期のあとにさらに1か月の給付制限が挟まります。初回の振込で言えば、会社都合で約1か月後、自己都合で2〜4か月後というイメージです。

期間は90日から最長360日。そして意外と知られていないのが、給付日数とは別に「受給期間」という期限があることです。原則、離職の翌日から1年。この期限を過ぎると、日数が残っていても打ち切りです。手続きが遅れるほど自分の首を絞める構造なので、離職票が届いたら早めに動きましょう。

セットで覚えておきたい3つの制度

失業保険単体で考えるより、次の3つと組み合わせて考えたほうが、手元に残るお金は確実に増えます。

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