「せっかく270日分の権利があるのに、来月から働いたらもったいないですよね」。再就職が決まりかけた相談者から、よくこう聞かれます。
答えはこうです。もったいなくありません。むしろ祝い金が出ます。それが再就職手当です。
いくらもらえるのか ― 計算はシンプル
計算式は「支給残日数 × 基本手当日額 × 給付率」。給付率は、所定給付日数をどれだけ残して決まったかで変わります。
- 3分の2以上残して再就職 → 70%
- 3分の1以上残して再就職 → 60%
例を出しましょう。給付日数270日・日額6,000円の方が、60日消化した時点(残210日)で再就職した場合。残日数は3分の2以上なので率は70%。210日×6,000円×70%=約88万円が一時金でドンと入ります。失業保険を最後まで受給した場合の残額(126万円)より少ないのは事実ですが、その間ずっと無職でいるのと、給料をもらいながら88万円を上乗せするのと、どちらが得かは言うまでもありません。
早く動くほど率も残日数も大きくなる。「早期の再就職ほど得」になるよう設計されているのです。
支給条件 ― 8つあるが、つまずくのは実質3つ
支給条件は形式上8つ並んでいますが、実務でつまずくポイントは限られています。
① 待期期間(7日)が明けてから就職したこと。手続き前や待期中に決まった就職は対象外です。内定のタイミングには注意。
② 給付制限がある人は、最初の1か月はハローワークまたは許可を受けた紹介事業者経由の就職であること。自己都合退職の方が給付制限の初月に知人の紹介や直接応募で決めると、対象から外れます。1か月を過ぎれば経路は自由です。
③ 1年を超えて勤務することが確実であること。雇用保険に加入するような安定した職であることも求められます。短期契約の繰り返しは対象になりにくい。なお、起業・フリーランス転向でも対象になり得ます(受給資格決定後に事業を開始し、一定の要件を満たす場合)。これは意外と知られていません。
ほかに、離職した前の会社(および関連会社)への出戻りでないこと、過去3年以内に再就職手当をもらっていないこと、などがあります。
申請の流れ ― 最大の敵は「忘れること」
就職が決まったら、まずハローワークに就職の届け出をします。そこで再就職手当支給申請書を受け取り、新しい勤務先に証明欄を書いてもらって提出。期限は就職日の翌日から1か月以内が原則です(時効としては2年ありますが、早いに越したことはありません)。
入社直後は新しい環境に慣れるのに必死で、申請書のことなど頭から飛びます。私の感覚では、もらい損ねの最大原因は条件不備ではなく単純な申請忘れです。内定が出た日に、スマホのカレンダーに「再就職手当の申請」と入れてしまってください。
給料が下がったら、もう一つ上乗せがある
再就職先の給料が前職より低い場合、6か月勤務した後に就業促進定着手当という上乗せを申請できます。詳しくは別記事に譲りますが、「再就職手当をもらった人だけが使える第二の手当」があることは、この段階で頭の隅に置いておいてください。
再就職のタイミングと手当の関係は、内定日・入社日を数日動かすだけで結果が変わることがあります。内定が見えてきた段階でご相談いただければ、一番得な着地を一緒に計算します。