転職で年収が上がる人ばかりではありません。むしろ失業を挟んだ再就職では、前職より条件が下がることのほうが多いくらいです。「生活のために早く決めたけど、月3万円下がった」――そんな方への補填として用意されているのが、就業促進定着手当です。知名度は低いのに、対象者は多い。もったいない制度の代表格です。
対象になる人
条件は3つだけです。
- 再就職手当を受け取ったこと
- その再就職先に6か月以上雇用保険に入って勤務を続けている
- 再就職先の6か月間の賃金(1日あたり)が、離職前より低い
つまり「再就職手当をもらって働き始めたが、給料は下がった」人が、6か月頑張った時点で申請できる手当です。
いくらもらえるか
計算式は「(離職前の賃金日額 − 再就職後6か月の賃金日額)× 再就職後6か月間の賃金支払基礎日数」。ざっくり言えば、下がった分の差額×6か月分がまとまって戻ってくるイメージです。
例:離職前の賃金日額10,000円、再就職後8,800円、6か月の賃金支払基礎日数が180日の場合。(10,000−8,800)×180=約21万6千円。月収に直すと3.6万円下がった人が、その半年分を一括で受け取れる計算です。
上限もあります。「基本手当日額×支給残日数×40%」まで。再就職手当(60%または70%)と合わせて、元の給付の100%を超えない設計になっているわけです。制度全体として「早く就職した人が最終的に損をしない」よう帳尻を合わせている、と理解すると覚えやすいと思います。
申請のタイミングと必要書類
申請期間は、再就職した日から6か月経過した日の翌日から2か月間。ここが最大の関門です。再就職手当の申請から半年後、新しい職場にもすっかり慣れた頃に、自分から思い出して動かなければならない。ハローワークから「そろそろですよ」と連絡は来ません。
必要なのは、支給申請書(再就職手当の支給決定通知と一緒に案内が入っていることが多い)、6か月分の給与明細または賃金台帳の写し、出勤簿の写しなど。勤務先に協力してもらう書類があるので、少し早めに準備を始めるのが吉です。
実務的なアドバイスとしてはただ一つ。再就職手当の申請をした日に、スマホのカレンダーへ「6か月後:定着手当の申請」と登録する。これに尽きます。
「下がった給料」を申請しにくいと感じる方へ
この手当の話をすると、「なんだか会社に給料の不満を言っているみたいで気が引ける」とおっしゃる方がいます。誤解のないように言うと、申請はハローワークに対して行うもので、会社の評価とは無関係です。賃金証明などで勤務先の事務協力は必要ですが、雇用保険の手当申請は日常業務の一部であり、特別視されるものではありません。堂々と申請してください。
再就職まわりの手当は「再就職手当→(6か月後)→定着手当」の二段構えで一つのパッケージです。ご自身がいくらになるかの試算は、給与明細を手元に無料相談へどうぞ。