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山下 裕太特定社労士・15年実務

※ ご本人の同意を得たうえで、個人が特定されない範囲で内容を再構成しています。金額・期間は当時の状況に基づくもので、同じ結果を保証するものではありません。

ご相談時の状況

佐藤様(仮名)、42歳。経理一筋14年、月収29万円。職場の人間関係から適応障害と診断され、相談時点で休職3か月目でした。

復職の見込みは立っていない。それなのに、ご本人は妙に焦っていました。「退職するなら、すぐ失業保険を申請して転職活動を始めないと、生活が持たないですよね」。

私たちの答えは逆でした。「今は、何も申請しないでください」

なぜ「すぐ失業保険」が最悪手だったのか

佐藤様は「傷病手当金は退職したら終わり」と思い込んでいました。実際には、加入期間などの条件を満たせば退職後も継続受給できます。もしあの時点で失業保険を申請していたら――「私は働けます」と宣言することになり、療養中の傷病手当金と真っ向から矛盾します。治りきらないまま求職活動に追われ、受け取れるはずの数百万円を失い、症状の再発リスクまで抱える。三重の損でした。

実行した設計

まず、退職後の傷病手当金の継続要件を一つずつ確認しました。健康保険の加入は14年で問題なし。在職中に受給が始まっていることも確認済み。あとは退職日に出勤しないことだけ注意してもらい、退職後は協会けんぽへ直接申請する形に切り替えました。

次に、退職から30日経過後、失業保険の受給期間延長を郵送で申請。これで失業保険の権利は最大4年間凍結され、「傷病手当金を受け切ってから失業保険」というリレーの線路が敷けました。

療養が長引く中で、主治医と相談のうえ精神障害者保健福祉手帳(3級)を取得されたことも、後で大きく効いてきます。

結果

失業保険の受給中はハローワークの専門援助窓口も活用し、現在は在宅中心の経理職に転職。障害者雇用枠と一般枠の両にらみで進めた求職活動でした。

ご本人の言葉

「『今は治すことが仕事です』と言われて、初めて肩の力が抜けました。1年半、お金の不安なく療養できたことがすべての土台でした。焦って動いていたらと思うと、今でもぞっとします」

担当より

休職中の方の相談では、「何をするか」より「何をしないか」が結果を分けることがあります。佐藤様のケースはその典型でした。休職中・療養中で退職を迷っている方は、申請ボタンを押す前に、順番だけでも確認してください。無料相談で整理をお手伝いします。