受給額の計算式は、調べればすぐ出てきます。ただ、式を眺めても自分の金額はピンと来ないものです。そこでこの記事では、月収25万円・38歳・勤続7年という一人のモデルケースを、計算の最初から最後まで追いかけてみます。ご自身の数字に置き換えながら読んでみてください。電卓があれば5分で出ます。
第1段階:賃金日額を出す
出発点は「賃金日額」。退職前6か月分の給与総額を180で割った数字です。
モデルケースで計算してみましょう。月収25万円が6か月続いたとすると、合計150万円。これを180で割って、賃金日額は8,333円となります。
ここで大事なのが「給与総額」に何が入るかです。基本給だけではありません。残業代、通勤手当、住宅手当、家族手当――毎月の支給項目はほぼすべて含まれます。含まれないのは賞与と退職金くらいのものです。つまり、残業が多かった半年の直後に退職すると、賃金日額は上がります。離職票-2の賃金欄に手当の記載漏れがないかは、必ず確認してください。ここが漏れていると、受給額が直接減ります。
第2段階:給付率を掛ける
賃金日額に給付率(50〜80%)を掛けたものが、1日あたりの支給額「基本手当日額」です。給付率は固定ではなく、賃金日額が低いほど高く、高いほど低くなるスライド構造になっています。生活への打撃が大きい低所得層を厚く守る、という思想です。
モデルケースの賃金日額8,333円は中間帯に入るので、給付率はおよそ67%。基本手当日額は約5,600円と出ました。月に直すと約16.8万円。在職中の手取りが20万円前後だったはずなので、手取り比でおよそ8割です。「額面の67%」と聞くと心細く感じますが、失業保険は非課税で社会保険料も引かれないため、手取り感覚では思ったより目減りしません。
第3段階:年齢別の上限を確認する
最後に、算出した日額を年齢別の上限と突き合わせます。上限は毎年8月に改定されますが、おおよその水準はこうです。
- 30歳未満:7,000円台前半
- 30〜44歳:7,800円前後
- 45〜59歳:8,600円前後(最も高い)
- 60〜64歳:7,400円前後
モデルケースの5,600円は38歳の上限(7,800円前後)に届いていないので、そのまま確定。一方、月収45万円を超えるような方は計算上の日額が上限を突き抜けるため、月収50万円でも80万円でも受給額は同じになります。高所得の方ほど「思ったより少ない」と感じるのは、この上限の仕組みのせいです。
総額はいくらになるか
日額が出たら、あとは給付日数を掛けるだけです。モデルケース(38歳・勤続7年)の給付日数は、自己都合なら90日、会社都合なら180日。
- 自己都合:5,600円 × 90日 = 約50万円
- 会社都合:5,600円 × 180日 = 約101万円
同じ人でも、離職理由の区分だけで50万円の差がつきました。計算式の中で唯一、あとから動かせる可能性があるのがこの離職理由です。「会社都合と自己都合の違い」の記事で詳しく書いていますが、退職勧奨・長時間残業・ハラスメントなどの事情があった方は、離職票を鵜呑みにせず異議申し立てを検討する価値があります。
計算を狂わせる3つの落とし穴
最後に、実務でよく見るつまずきポイントを挙げておきます。ひとつ、退職直前に欠勤や時短で給与が下がった月がある場合。賃金支払基礎日数が11日未満の月は計算から外れるのですが、微妙なラインの月があると日額が変わります。ふたつ、休職明けの退職。無給期間の扱いで結果が大きく動くので、専門家に確認したほうが安全です。みっつ、離職票の賃金欄の誤記。会社の事務処理ミスは、思っているより頻繁にあります。
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