受給総額は「日額×日数」で決まります。日額の個人差はせいぜい2倍程度。ところが日数は90日から360日まで、4倍の開きがあります。総額を左右しているのは、実は日数のほうなのです。
そして日数を決める3要素――離職理由・年齢・被保険者期間――のうち、あとから動く余地があるのは離職理由だけ。だからこそ、この一覧表は「自分がどの行にいるか」だけでなく「どの行に移れる可能性があるか」という目で見てほしいのです。
一般の離職者(通常の自己都合)
年齢は関係なく、被保険者期間だけで決まります。シンプルです。
- 1年以上10年未満:90日
- 10年以上20年未満:120日
- 20年以上:150日
20年勤め上げても150日。ここが一般離職者の天井です。
特定受給資格者(会社都合等)
倒産・解雇・退職勧奨・雇い止めなどの場合は、年齢×勤続年数のマトリクスに切り替わり、日数が大きく伸びます。年齢帯ごとの上限だけ抜き出すとこうなります。
- 30歳未満:最大180日
- 30〜34歳:最大240日
- 35〜44歳:最大270日
- 45〜59歳:最大330日
- 60〜64歳:最大240日
注目すべきは45〜59歳の欄です。勤続20年以上なら330日。同じ人が一般離職者なら150日ですから、その差180日。日額8,000円なら約144万円の違いになります。ミドル世代の退職ほど、離職区分の確認に時間をかける価値があるということです。
就職困難者という区分
もうひとつ、知られていない区分があります。障害者手帳をお持ちの方などが該当する「就職困難者」です。日数は1年未満の勤務でも150日、1年以上なら45歳未満で300日、45歳以上で360日。全区分の中で最も手厚い設定です。
実務で意外と多いのが、うつ病などで通院中の方が精神障害者保健福祉手帳を取得し、この区分で受給するケースです。手帳の取得には主治医との相談が必要ですし、取得すべきかどうかはご本人の状況と意向によりますが、「そういう選択肢がある」ことは知っておいて損はありません。
日数まわりで押さえておくべき3つのこと
1つ目。日数をもらい切るには、受給期間(原則1年)の壁があります。330日の権利を持っていても、手続きが遅れれば後ろが切れる。長い日数の方ほど、離職後すぐの手続きが鉄則です。
2つ目。日数は延びることがあります。代表例が公共職業訓練で、受講中は所定日数を過ぎても支給が続きます(訓練延長給付)。給付日数の残りが少なくなったタイミングで訓練を始める、というのは昔からある王道の立ち回りです。詳しくは「職業訓練という選択肢」の記事で。
3つ目。残した日数は消えるのではなく、再就職手当という一時金に化けます。日数の多い区分の方は、早めに再就職した場合の一時金も大きくなる。「長い日数=ゆっくり探すためのもの」とは限らないのです。
自分の区分はどこで確認できるか
最終的な区分は、ハローワークが「離職理由コード」として決定し、雇用保険受給資格者証に記載されます。離職票に会社が書いてきた理由は、あくまで会社側の言い分にすぎません。実態と違うと感じたら、手続きの際に窓口で申し立てを。タイムカードや面談記録などの証拠があれば、区分はひっくり返ることがあります。実際にどう覆したかは、受給事例のコーナーに実例を載せています。