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山下 裕太特定社労士・15年実務

「退職してもう3週間になるのに、離職票が送られてこないんです」。この相談、毎月のように受けます。離職票がないと失業保険の手続きが進まない。その間も受給期間(1年)の砂時計は落ち続ける。焦る気持ちはよく分かります。

ただ、安心してほしいのは、このトラブルには決まった解決ルートがあるということです。順番にいきます。

前提知識:発行は会社の「義務」

離職票の発行は、会社の善意やサービスではありません。退職者が希望した場合(59歳以上は希望に関係なく)、会社は退職日の翌々日から10日以内にハローワークへ離職手続きをする法的義務を負っています。「自己都合だから出さない」「ケンカ別れだから出さない」という理屈は通用しませんし、離職票関連の義務違反には罰則の規定すらあります。

とはいえ現実には、担当者がうっかり忘れていた、手続きを外部の社労士事務所に投げていて滞留していた、という悪意のない遅延が大半です。だから最初の一手は喧嘩腰でなくていい。

ステップ1:まず会社に確認(2〜3週間経過時点)

人事・総務に「離職票の発行状況を確認したい」と連絡します。おすすめはメールです。記録が残りますし、後のステップで「○日に催促済み」という事実が効いてきます。多くのケースはこの段階で「すみません、今週発送します」で解決します。

ステップ2:ハローワークから催促してもらう(3週間〜)

会社の反応が鈍い、あるいは「そのうち出す」を繰り返すようなら、会社の所在地を管轄するハローワークに相談します。ハローワークから会社へ、発行の催促・指導が入ります。行政からの電話というのは効くもので、私の経験上、ここまで来て解決しなかったケースはほとんどありません。

ステップ3:仮手続きで時間を止める(これが重要)

そして、意外なほど知られていないのがこの手です。離職票がまだ手元になくても、退職から2週間程度経っていれば、本人確認書類を持ってハローワークで仮の求職申込みができます。仮手続きをした日から待期期間(7日)のカウントが始まり、後日離職票が揃った時点で正式な手続きに切り替わる。つまり、会社の遅延で自分の受給開始が遅れるのを止められるのです。

相談に来られる方の中には、「離職票待ち」で1か月以上を無駄にしてから来られる方が少なくありません。待つ必要はなかったのに、です。この記事で覚えて帰るものを1つ選ぶなら、この仮手続きにしてください。

どうしても出さない悪質なケースは

ごく稀に、会社が意地になって手続きを拒み続けることがあります。その場合でも、ハローワークが職権で確認・処理する道が残されています。最終的に離職票が出なかった、という結末は基本的にありません。「必ず取れる書類」だと知っているだけで、会社とのやり取りの心理的負担はだいぶ軽くなるはずです。

届いたら「中身」の確認を忘れずに

ようやく届いた離職票、封を開けたらそのままハローワークへ――の前に、2か所だけ確認してください。離職理由欄賃金額欄です。理由が実態と違えば本人判断欄で異議を示せますし、賃金欄に残業代や手当の記載漏れがあれば受給額が直接目減りします。ここでの5分の確認が、数十万円の差になることがあります。

あわせて、国保への切り替えに使う健康保険資格喪失証明書、確定申告に使う源泉徴収票も、この時期に揃えておくと後が楽です。会社とのやり取りがこじれて動けなくなっている方は、状況を整理するところからで構いませんので、無料相談にお持ち込みください。