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鈴木 一郎社会保険労務士・1級FP

失業保険だけでは家賃と生活費でカツカツ。少しはバイトで足したい――当然の発想ですし、実際、受給しながら働くことは制度上認められています。問題は、線引きを知らずに働いてしまうこと。ルールはたった3つなので、先に結論を並べます。

絶対ルール:申告する

失業認定申告書に、働いた日・時間・収入を正直に書く。話はここから始まります。「バレないだろう」は通用しません。雇用保険の加入記録、給与の支払記録、時には第三者からの情報提供で、ハローワークは就労を把握します。無申告が発覚した場合のペナルティは、受け取った額の返還に加えて2倍の納付命令。世に言う3倍返しです。悪質なら刑事告発まであります。

逆に言えば、申告さえしていれば、減額や繰越はあっても「罰」はありません。堂々と書きましょう。

4時間の線 ― 減るのか、後ろにずれるのか

働いた日の扱いは、その日の労働時間で二手に分かれます。

4時間以上働いた日は「就労」扱い。その日の基本手当は支給されません。ただし没収ではなく、後ろに繰り越しです。受給期間(1年)に余裕があれば、トータルの受給額は減りません。

4時間未満の日は「内職・手伝い」扱いで、こちらは収入額に応じた減額の計算に入ります。仕組みをざっくり言うと、その日の収入と基本手当の合計が前職賃金の8割を超えた分だけ差し引かれる、というもの。数千円程度の収入なら満額支給されることも多く、思ったほど厳しくありません。

この違いを踏まえると、ひとつの立ち回りが見えてきます。受給期間に余裕がある方なら、あえて4時間以上のシフトでしっかり働き、「繰越」で支給を後ろにずらしながら収入を積む、という選択肢。逆に受給期間の残りが少ない方は、繰り越した分が期限切れで消えるリスクがあるので、この手は使えません。ご自身の残り日数と残り期間を見て判断してください。

週20時間の線 ― 「就職した」とみなされる

週20時間は雇用保険の加入ライン、つまり制度上「就職」と扱われる基準です。継続的に週20時間以上働くと、アルバイトのつもりでも受給は止まります。単発・短期に抑えるのが基本です。

なお、もしまとまった時間働ける仕事が見つかったなら、それは隠すことではなく、むしろ再就職手当に切り替えるチャンスかもしれません。条件次第で残日数の6〜7割が一時金でもらえます。「働きたいけど受給が惜しい」という悩みは、実は制度側が先回りして解決してくれています。

細かい質問への答え

よく聞かれるものをまとめて。単発の日雇いバイトはOK、その日を申告するだけです。フードデリバリーやクラウドソーシングも労働として申告が必要ですが、継続性が強まると「自営業を始めた」とみなされ受給資格に関わるので、続けるつもりなら先に窓口へ相談を。親の手伝いで謝礼をもらった場合も金額を問わず申告対象。フリマアプリで私物を売ったお金は労働の対価ではないので原則申告不要です。

最後にひとつ。待期期間(最初の7日間)だけは、短時間でも働くとカウントが止まります。バイトを始めるのは、少なくとも待期が明けてから。ここだけは我慢してください。