失業期間を「空白」にするか「仕込み」にするか。その分かれ目になるのが職業訓練です。単にスキルが身につくだけではありません。使い方によっては、失業保険の受給日数そのものが延びます。制度の仕組みから、受講開始の最適なタイミングまで解説します。
公共職業訓練とは
国や都道府県が実施する、求職者向けの職業訓練です。経理、IT、介護、電気設備、CAD、Webデザイン――コースは地域ごとに多彩で、期間は3か月〜2年程度。受講料は原則無料(テキスト代は自己負担)です。申し込みはハローワーク経由で、面接や筆記の選考があります。
本題:訓練延長給付という強力な仕組み
失業保険の受給者が公共職業訓練を受講すると、給付面で3つの優遇があります。
- 訓練中は所定給付日数が尽きても基本手当が延長支給される(訓練延長給付)
- 自己都合退職の給付制限が解除される
- 受講手当(日額500円)と通所手当(交通費)が上乗せされる
1つ目が圧倒的に大きい。たとえば給付日数90日の方が、残り30日の時点で6か月コースの訓練を始めたとします。本来なら1か月後に給付は終了。ところが訓練中は支給が続くので、実質的に約5か月分の給付が追加されることになります。日額5,000円なら75万円相当です。
だからこそ「開始タイミング」が戦略になる
この仕組みの帰結として、訓練は「給付日数を十分残した状態」で始めるより、「残りが少なくなってきたタイミング」で開始するほうが、延長の恩恵が大きくなります(受講開始日に支給残日数が一定以上必要、という条件があるため、ゼロになる直前では遅い)。コースの開講月は限られているので、受給開始の早い段階で訓練校の募集スケジュールを調べ、逆算して応募するのが上手な使い方です。このあたりの計算はハローワークの訓練窓口でも相談できますし、当サイトの無料相談でも一緒に組み立てられます。
給付が終わった人・もらえない人には「求職者支援制度」
失業保険を受給し終えた方、受給資格がそもそもない方(雇用保険未加入だった方、フリーランスを廃業した方など)には、別枠で求職者支援制度があります。無料の職業訓練(求職者支援訓練)を受けながら、収入や世帯要件を満たせば職業訓練受講給付金として月10万円+交通費の支給を受けられる制度です。
収入要件(本人月8万円以下、世帯月30万円以下など)があるため誰でも対象になるわけではありませんが、「失業保険が切れた後の選択肢」として存在を知っておくだけでも、いざという時の安心感が違います。
訓練選びで見るべきポイント
最後に、コース選びの実務的な視点を3つだけ。第一に、修了生の就職率と就職先の実名(訓練校ごとに公表されています)。第二に、取得できる資格が求人票で実際に要件になっているか。第三に、通所時間。片道90分の訓練校に半年通うのは想像以上に消耗します。
「何となく延長のために訓練を受ける」のは本末転倒ですが、方向性の合うコースがあるなら、給付日数の延長・給付制限の解除・無料のスキル習得と、これほど条件の揃った制度は他にありません。募集スケジュールの確認だけでも早めに動いてみてください。