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佐藤 あき税理士・CFP

「失業保険って、税金引かれるんですか?」――答えは明快で、引かれません。基本手当は雇用保険法で公課が禁止されており、所得税も住民税もかかりませんし、所得としてカウントもされません。確定申告に書く必要すらありません。

……で話が終われば楽なのですが、税理士として実務をやっていると、この「非課税」という言葉が生む誤解のほうが厄介だと感じます。退職した年のお金まわりで押さえるべきことを、4つに絞って整理します。

その1:確定申告は「不要」でも「した方が得」

年の途中で退職して年末調整を受けていない方は、ほぼ確実に所得税を払いすぎています。在職中の源泉徴収は「12月まで働く前提」の概算だからです。確定申告(還付申告)をすれば、その払いすぎ分が戻ってきます。

戻りを大きくする材料も、退職後の生活には転がっています。自分で払った国民健康保険料・国民年金保険料は社会保険料控除の対象。生命保険料控除や医療費控除も併せて申告できます。還付申告は翌年1月から5年間できるので焦る必要はありませんが、源泉徴収票だけは捨てないでください。会社からもらっていなければ請求を。

その2:「税金の扶養」と「社会保険の扶養」を混同しない

ここが最大の混乱ポイントです。配偶者の扶養に入れるかどうかは、実は2つの別の制度の話が混ざっています。

税金の扶養(配偶者控除など)については、失業保険は非課税所得なのでいくら受給しても影響しません。一方、社会保険の扶養(健康保険・年金の第3号)では、失業保険は収入としてカウントされます。判定ラインは基本手当日額3,612円(年収130万円を360日で割った額)。日額がこれ以上だと、受給している間は扶養に入れません。

実務での定石はこうです。給付制限中はまだ受給していないので扶養に入る → 受給が始まったら国保+国民年金に切り替える → 受給が終わったら扶養に戻る。出たり入ったりで手間はかかりますが、保険料の差額を考えると十分ペイします(扶養の認定基準は健保組合ごとに細部が違うので、事前確認だけお忘れなく)。

その3:住民税の「後払い」に備える

退職した年に無収入になっても、住民税の納付書は容赦なく届きます。住民税は前年の所得に対する課税だからです。月収30万円だった方なら、年間でおよそ15万円前後。収入が途絶えたタイミングでこれが来るので、家計計画に織り込んでいないと結構こたえます。

所得が大きく減った場合の減免制度を設けている自治体もあります。全国一律ではないので、お住まいの市区町村のサイトで「住民税 減免」を調べてみてください。

その4:国保と年金の軽減・免除を申請する

最後は支出を減らす話です。会社都合等(特定受給資格者・特定理由離職者)で離職した方は、国民健康保険料が前年の給与所得を30/100とみなして計算される大幅軽減の対象です。国民年金にも、失業した方向けの特例免除があります(本人の前年所得を除外して審査)。

どちらも共通するのは、申請しない限り1円も安くならないということ。ハローワークで受給資格者証を受け取ったら、その足で市区町村の窓口に寄って両方申請する。この動線を覚えておくだけで、年間20万円前後の差になる方もいます。

退職した年の税金・保険料は、パズルのピースが多いわりに、どれも「知っていれば拾える」ものばかりです。ご自身のケースの全体設計は、無料相談でまとめて確認いただけます。